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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*ひつよう*

 
「彼のこと、スキなの?」

 誰かが私に

 そう問い掛けた。


 *ひつよう*


 「一緒にご飯でもどう?」


 金曜日の午後

 彼が私にそう言った。


 「いいねぇ。もちろん
  君の奢りでしょ?」


 そう言って

 肘で彼をつつくと

 彼は笑った。



 大学の同級生。


 それが私と彼の関係。

 それ以上でも
 
 それ以下でもない。

 
 【彼のことがスキなのか】


 それはよく

 考えたことのないことで

 でもだからって

 改めて考えたとこで

 答えが出るわけもない。

 考えれば考えるほど

 よくわからなくなって

 頭の中でずっと

 モヤモヤし続けた。


 「で、お前は何て答えたの?」


 ご飯を食べながら

 彼にその話をしたら

 にやにやしながら

 問い掛けてきた。


 「正直に答えただけ」



 【わかんない】



 「なにそれ」


 私の答えに

 彼は二カって笑った。



 だってね


 「こうやってね
  君とご飯を食べるのは楽しいの」


 たまにこうして

 彼と向かい合って

 二人で食べるご飯は

 一人暮らしの部屋で

 自分で作ったものを

 一人で食べるよか楽しい。


 「つまんないときは
  君についついメールもするよね」


 どうしても

 一人暮らしだと

 暇になって

 ふと携帯を手にして

 ついつい彼にメールする。

 それがきっと最近

 普通になってきてる。


 「きっと君とだったら
  一緒にいても飽きないんだ」


 別にかっこよくない。

 勉強も普通だし

 スポーツも普通。

 友達も

 多いわけでも少なくもない。

 どこにでもいるような

 そんな彼だけど

 一緒にいると楽しいの。


 
 彼は頷きながら

 私の話しに

 耳を傾ける。

 
 「でもね、それがスキかどうかは
   わかんないんだなぁ・・・」


 そんな私の言葉に

 彼はまた

 ちょっと吹き出した。


 「じゃぁさ、俺がいなくなったら
  どうなんだろうな」


 
 突然の彼の言葉に

 
 「あ、それは無理。
   考えられないもん」


 即答した私を見て

 彼はまた笑う。


 「じゃぁ、それでいいんじゃない?」


 「でも・・・」


 なんだか

 引っ掛かって

 スッキリしないのは

 あんまりスキじゃない。

 だから

 答えを出したいのに

 こればかりはどうにもならなくて

 ふくれる私に

 彼は言ったんだ。


 「そりあえず、今のお前にとって
 俺はそれなりに必要なわけっしょ?
 だから、それでいいんじゃない?」


 「・・・・なぁるほど」


 彼の言葉に

 なんだかとても

 納得出来た。



 私にとって彼は

 スキだとか

 そうじゃないだとかよりも

 

 彼はね

 今の私には

 なくてはならない存在で

 《必要》なんだ。

 

 「じゃぁさぁ・・・」


 なんだか凄く気になって

 私は彼を

 じっと見つめた。


 「ん?」


 箸をくわえながら

 私を見返す彼に

 問い掛ける。


 「君にとって私は必要?」

  
 私にとって必要な彼。

 じゃぁ

 彼にとって私は

 私が思う彼と同じように

 必要な存在に

 なれてるのかどうか

 すごく気になった。


 どきどきしながら

 彼の口が

 ひらくのをまつ。



 「もちろん。必要不可欠なわけよ」


 笑顔でそう答えた彼に

 なんだか少し

 きゅんときて

 なんだか少し

 恋をした。







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bbs

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